第三次月詠聖杯戦争十一日目 昼パート2

11日目 朝 王子岬/旅館


 王子岬にある旅館の一室に、アダムとアサシン――――イヴは宿泊していた。  畳の上には二組の布団が並べられ、その片方にはアダムが仰臥している。  規則正しい寝息。  イヴはその様子を、浴衣姿で窓辺に座りながら、何とはなしに眺めていた。  窓から吹き込む海風が、彼女の黒髪をなでていく。  セイバーには幾ばくかの金を与えて自由にさせてあった。  戦争の状況はそう悪くない。  自分たちを狙う三騎の同盟のうち、一騎を切り崩して2対2に持ち込むことが出来た。  バーサーカー陣営を倒しきれなかったのは痛恨のミスだが、次はない。  ランサー陣営は、まあどうとでもなるだろう。  むしろ気にかけることは身内にあった。  まずネイビア。あの偏狭な魔術師に、セイバーのことが知られた時点でイヴの首が飛びかねない。  そのため、彼女が真っ先にやるべきことはネイビアの無力化に他ならない。  イヴは令呪で、アダムは製作者の命令権で行動を阻害されるので、そこはセイバー頼りになる。  最低でも令呪を使わせればいい。  本来は可能な限り早く、今すぐにでも客船を襲撃すべきだったが  不測の事態に備え、アダムの休息が終わるまで待つことにした。 「…………」  聖杯戦争はもうすぐ終わる。  ネイビアさえ始末すれば最大の不安要素はなくなる。  アダムとバーサーカーを再戦させ、セイバーとイヴでランサー陣営を打倒すれば敵はいなくなる。  後はセイバーを令呪で自害させれば、彼女の勝利だ。  彼女――――クリームヒルトの願いが叶う。  ・  ・  ・  ライン河畔の国の王女、クリームヒルトは、ある日国を訪れた英雄に恋をした。  彼の名はシグルド。  最高の魔剣を持ち、不死身の体を持ち、一国の王子であり、竜を殺した大英雄。  おそらく、世界中の少女が思い描く、理想の存在そのもの。  不幸があるとしたら、彼があまりに理想の存在過ぎたことだろう。  恋に恋する少女であったクリームヒルトは、その恋に命を賭けると決意した。  実際、彼女の愛は、シグルドの死後十年経とうが色褪せなかったのだから、その決意だけは本物だったのだろう。  シグルドが城に逗留している間、彼女はあらゆる手管を駆使してアタックをした。結婚を前提としたお付き合いを願った。  あまりに行き過ぎて、アタックと言うより誘惑の域に達していたのは否めない。  だが、そんな彼女の気持ちに対して、答えは一つだった。 ――――俺には愛する人がいるのでな――――  元戦乙女、ブリュンヒルデ。  それがクリームヒルトを拒む最大にして最悪の障害だった。  既に恋人がいる相手の恋人にはなれない――――幾多の乙女の恋を諦めさせた、残酷な真理である。  だが、クリームヒルトは諦めなかった。  諦められなかったし、何よりも納得できなかった。 ――――私には確かに、シグルド様のような力はない。     剣など振るえないし、馬にも乗れないし、竜など倒せないし、軍を率いることも出来ない。     だけど一つだけ     人を愛する気持ちでなら、シグルド様にも負けるつもりはありません。     だから勝負をしましょう、シグルド様。     戦場に出たこともないし、命のやり取りもしたことはないけれど、私は恐怖もなく命を賭けます。     私の貴方への愛が上か、貴方の戦乙女への愛が上か。     もしも私が勝ったのなら     そのほうが、幸せになれるということですよ、シグルド様――――  神話級スイーツ、クリームヒルト誕生。なお忘却薬は無断でぶっ放した。  かくしてシグルドはブリュンヒルデのことを忘却し、クリームヒルトの猛アタックを受け入れ、悲劇の幕は開かれる。  とはいえ、シグルドの妻となったクリームヒルトは良妻賢母を地で行く存在だった。  夫には絶対に逆らわず、全てを捧げて内外で夫を支え、三歩下がって影を踏まず。  彼女のシグルドに対する態度は、ほとんど崇拝の域に達していた。  戦乙女脳バリバリのブリュンヒルデがシグルドと結婚したとして、果たしてうまくいったかどうかは謎であるが  少なくともシグルドとクリームヒルトの結婚生活は、この上なく順調だった。  実際、シグルドは時間が経つにつれ忘却薬の呪縛から逃れたていたが、それでもクリームヒルトと別れるようなことはなかった。  クリームヒルト自身は、義姉となったブリュンヒルデに対して  少なくとも悲劇が訪れるまでは、悪い感情は抱いていなかった。  むしろ感謝していたほどだった。  想い人に忘れられた『程度』で、シグルドのことを諦めてくれたことに。  もしもクリームヒルトが、愛した人に忘れられ、誓いによって他の人と結婚させられることになったらどうするか。  全殺しに決まっている。  ありとあらゆる手段を用いて、神に逆らい、周囲全てを血に染めてでも、愛を貫いたことだろう。  だから、クリームヒルトは、そんな台無しを起こさなかったブリュンヒルデに、感謝さえしていたのだ。  ある時、クリームヒルトとブリュンヒルデが、ふとしたことから言い争いになった。  クリームヒルトも自分の話題ならいくらでも義姉を立てただろうが、その話題がよりによって  『どちらの夫が素晴らしいのか』という話題だった。  重ねて言うと、他の話題ならクリームヒルトはいくらでも譲歩しただろう。  だがシグルドキチの彼女はこの話題で一切譲歩せず、ブリュンヒルデの夫(つまり自分の兄)を徹底的にこきおろしてしまった。  愛の前には肉親の絆も関係ないのが神話的スイーツのゆえんである。 (ブリュンヒルデは、自分の居城を覆う炎壁を乗り越えた勇者と結婚するという呪いを受けていた。  それを達成した第一号がシグルド。  第二号がクリームヒルトの兄、グンタ―王であり、ブリュンヒルデは彼と結婚した。  しかし実際に炎壁を飛び越えたのは、グンタ―に変装したシグルドであり  クリームヒルトはそのことを暴露してしまった。スイーツ)  怒りと憎悪に燃えたブリュンヒルデは部下のハーゲンに命じてシグルドを暗殺する。  それはクリームヒルトにとって最大の誤算であり、理解できない行為だった。  ブリュンヒルデが憎むべき相手は、夫のグンターや義妹のクリームヒルトであり、シグルドではないはずだった。  そして茫然自失としながら、喪主として夫の葬式を進めるクリームヒルトの前で  死した英雄を弔う炎の中に、ブリュンヒルデが飛び込み、共に天へ返った。  ブリュンヒルデは、シグルドが愛の記憶を忘れ去られていたことを、後になって知ったのだ。  かくしてクリームヒルトは、なにより愛する相手と、なにより憎むべき相手を同時に失った。  愛と憎悪は裏表の関係にある。  クリームヒルトの、シグルドに対する愛は、常軌を逸して巨大なものだった。  世界を征する英雄の条件というものが、生まれ持った素養と不断の意志によるものならば  彼女は愛の心だけでその条件を満たしていた。  つまり、大英雄シグルドという、偉大な器によって封じられていた猛毒のようなものだ。  義姉の目論見を黙認した、兄のグンター。  夫を直接殺した戦士、ハーゲン。  どちらもシグルドの死に大きく関わった人間ではあるが――――雑魚だ。  彼女の大きすぎる愛。そこから反転した憎悪。それを受け止めるにはあまりにも小さすぎる。  必然、彼女の憎悪は更に大きなものに向かった。  即ち。王族、兵士、国、周辺国家。クリームヒルトが認識する限りの環境。  『世界』に。  クリームヒルトは夫の死後、13年間、喪服を着続けた。  その後、フン族の偉大なる大王、アッティラから再婚の申し出があり、これを受け入れた。  彼の統治する帝国は、彼女の生まれ育った国より、シグルドと共に治めた国より、はるかに強大だった。  『神災王』アッティラは、戦場では勇猛果敢にして冷静沈着、約束事には謙虚で誠実。ある意味でシグルド以上の英雄だったが  それでも、クリームヒルトの『世界』への憎悪は収まらなかった。  結果として、彼女の憎悪はフン族の諸侯も故郷も全てを滅ぼすことになる。  アサシンのサーヴァント・クリームヒルトが聖杯に望むことは何か。  シグルドとの再会? ――――いいえ。あの人はもう、義姉様に奪われてしまった。  ブリュンヒルデとの決着? ――――いいえ。今更義姉様に会ったところで、私の気持ちは収まらない。  ではなにか。 ――――世界の破滅。     もう私にはそれしかないのです。     私の中にある、黒い炎は、あとどれだけのものを燃やせば収まるのでしょう。     自分自身でもわからない。幾つもの国と戦士と人々を燃やして、まだこの気持ちは収まらない。     命を賭けて恋をした。その大きさこそが、この炎なら     どこまでやれば気が済むのか、わからないのなら、いっそ最後まで行ってしまえばいい。     愛も憎悪もなくしてしまった。     死してなお、私には、破滅しか望むものはない。 「だから――――アダム。私の剣、私の人形、私の聖杯」 「どうか世界を――――滅ぼしてくださいね」
  クレダ : せいばーせいばー、これからの話!         これからの話しましょう! これからどうするのか!         静かな田舎に家を買って、子供は男の子と女の子で2人ほしいです。         ってそういう話じゃないーーーー!         ああーついボケてしまうサガが憎い、っていないのかよー!
  セイバー: んー。まぁ、鎧ぶっ放した後、当てるしかないわけであるが。         チャンスとしては、船ぶっ壊した後になるであるな。         宝具に絶対命中つけて、投げるか殴るかすればいいと思うのである。
  クレダ : もしかしてアダムと直接対決する時の話してます?
  セイバー: いや、拙とアダムは別行動である。これは決定済み。         つまり、『時間帯:夜』はアダムは船におらず、拙とネイビアが船に居る状態であるのであろう?>GM
  GM  : ええと基本的にはそうですが、時間帯は場合によって変わります。         ぶっちゃけクレダが昼に船に行くなら、それに合わせようかと。
  クレダ : ほふ。
  セイバー: 重要なのはそこではなく、『セイバーとアダムが同じ場所に居るかどうか』であるが。
  GM  : いない。
  セイバー: では、そこで一手取れる筈である。船破壊には鎧使うであろうから、その時が正気に戻すチャンスであるな。
  GM  : 船壊すのに使うのかよ?(笑)         てっきり鎧はがすのにランサー陣の手助けが必要かと思ってたね。
  セイバー: 言っとくであるが、鎧使わないと達成値そんなに出ないであるからな、拙(笑)         鎧使わないとダイス40〜50であるから、一流魔術師相手だと壊しきれないであるぞ?
  GM  : あの人は三流だから……(笑)         さておきこの話は参考になった?
  クレダ : はい。ふと思ったんですが、天の目が作ってた宝具=記憶をとりもどす赤い石         ってことですよね?
  GM  : たぶんそうですね。出ないとどこから生えてきたんだと。
  クレダ : 一瞬、作ってた宝具=天の目用のアイテムにしたらどうだろう         とか思ったんですが、やっぱり私用の方がいいでしょうか。それだと。
  セイバー: そうであるが、追加効果枠使わない追加効果と思ってくれていいである。         つまり、天目が作った宝具に姫が力を貸してくれたって感じであるな!
  クレダ : なにもんですかひめ。
  セイバー: 夢で散々喋っていたでないか(笑)
  クレダ : そりゃそうですけど、喋るだけで相手のこと理解なんてできませんよ!(笑)         私は先読みくらいしかできるこたーないのです。人の心は読めません…あ、PCはできるんだった。         それはともかく、そしたら宝具は…魔術武器の茨のデータを、         +効果「ステータスアップ(幸運)」「BS付与」から「ステータスプラス(魔力)」「絶対命中」に変える感じにしましょう。         イメージとしては、天の目間のリンクの効率を上げて効率よく魔力を運用できるようになった、という感じ。
  GM  : 絶対命中?
  クレダ : 赤外線誘導です、ホーミングです。フィンファンネルです。
  GM  : 必中でしょうか。
  クレダ : そうそれ。
  GM  : わかりました。
  クレダ : あ、あと、今後の話ですけど。これまでずっと「聖杯に願うことなんかないよー」といってきましたが
  GM  : うん
  クレダ : 万一、聖杯に、デメリット無しで願いをかなえられるなら、セイバーに好きなこと願ってもらおうかなと思ってるんですが。         どうでしょう。
  セイバー: 拙にも願いらしい願いって無いであるぞ(笑)
  クレダ : いやそうかもしれないけどさー(笑)         だからなおのこと話をふってみたかったというか。         私にとってはアダムもセイバーも一緒なんですよ。その点。         一言で言うと、(某国大統領の声で)「チェンジ!」ですよ。         ムリにとはいわないけど。         なんかこう! 最初の立ち位置から一歩ふみだすようなサムシングがね?
  GM  : ごめんネタがわからない
  クレダ : 小浜さんです。         途中のシーンでセイバーがアダムに成長しろー、みたいなことを言ってたと思うんですけど         私もセイバーも成長したらいいんじゃないの、と。こう思うわけなんです。         まあ、思ってるだけなのでそれは別に良いです。         とはいえもしかしたらそういう話を振るかもしれないのでよろしくお願いします。
  セイバー: 解ったであるー。
  クレダ : 船に行く前に、ちょっと準備していってもいいですか? 演出的な意味で。
  GM  : いいですよ。
  クレダ : あ、いあ、回想っぽくやるので大丈夫です。         …場面は今から少し前。教会の聖堂で。         灯かりを消され、人気の無くなったその場所に、私はうずくまってます。
  GM  : そういえばクロウが助けてやろうか?(笑)
  クレダ : い ら な い (笑)         “魔術”という異端で作られた左目を持つ私は、神学校でもはぐれ者で。         辛い時は、夜、誰もが寝静まった時間に、こうして闇の中、一人でぼーっとすることがあった。         その時のことを思い出しながら…時を待ちます。         夜が深まるのを。         そうして。         「そろそろでしょうか」         と、壁の時計を見、立ち上がります。         いつも着ていた、修道女が着るようなロングスカートではなく、ライダースーツのような動きやすい格好で、         腰には水筒のようなものなどを色々くっつけてます。         「ほら、行きますよ。“天の目”」         そう呼びかけると…         背後の暗がりから、小さな目がのぞく。         …のですが、それはネズミの目です。         その後に続くように、鳥や虫が、ぱたぱたちょろちょろと飛び出してきます。         「この変装をするのも久しぶりですね。          まあイタリアでは大抵この姿をさせてたわけですが…」         でないと町中がSANチェックの嵐に。         天の目は、トループ。つまり…各個体を切り離し、それぞれを虫や小動物、あるいは鳥の姿をかぶせる。         と、いうわけで行動を使って変装します。
  GM  : はい。
  クレダ : 天の目と、私の分割思考の行動一つを使いました。         「ではパーティに参りましょうか」         そして、入り口で振り向いて。         「主のご加護を」         と言って、祭壇の十字架に向かって十字を切ってたちさります。
  GM  : だれか登場する? クロウとか。
  クレダ : 私としては特に会うつもりは無かったですけど…出したほうがいい?
  GM  : いやいってみただけです(笑)
  クレダ : もーうークロウはいいんじゃあ〜。あいとうない〜         と、とにかくそのまま港に行きますよ。