第三次月詠聖杯戦争九日目 深夜パート3

  GM  : ここでもう一つの戦闘の方も幕間を流しましょう。         ちょうど同じところまで進んでいるものを用意した。
 かつて、百と五の英雄が争う大戦争があった。  天が裂け、地が滅び、河が蒸発し、人が絶えた。  その戦争の名はマハーバーラタ。  インドの三大叙事詩の一つとして伝えられる物語であり  そしてアシュヴァッターマンは、大虐殺を以って、その戦争に幕を引いた英雄である。  その名は『馬のいななき』を意味する。彼が生まれた時、産声がそれに似ていたからである。  即ち『馬の(アシュ)いななき(ヴァッター)の音(マン)』である。  彼は当代最強の武芸師範の息子であり、当然のように父、ドローナに師事を受けた。  ただし、アシュヴァッターマンは偉大なる父を持ったが、これといって特筆した才能を示したわけではない。  アルジュナ、カルナ、ドゥルヨーダナといった大英雄ほどの器ではない。  しかしアシュヴァッターマンは、誰よりも偉大な父を尊敬していたし  非才であるからこそ、戦士としての礼節に忠実であろうとした。  そう。彼は何より父親を敬愛していた。  師匠としても、主としても。  故に、父親が騙し討ちで殺された時、その怒りは尋常でないものに達した。  しかもその殺され方は『息子が殺されたという誤情報で動揺して武器を手放したところを、  戦争の掟を破って殺された』というものである。  (なお、クリシュナは確かに『アシュヴァッターマン』と名付けた『象』を殺してた)  そしてアシュヴァッターマンは戦争における、あらゆる禁忌を破った。  一つ、夜襲を行ってはいけない。  一つ、核兵器を使用してはいけない。  結果、戦場は地獄と化した。  万の太陽とも呼ばれる『アグネア』によって、百と五の英雄が争った大戦争は、勝者なき戦いとして終結した。  禁忌を破った罰として  アシュヴァッターマンは神々から、五千年の間、地上を彷徨い続ける呪いを受けた。  それはいい、それは仕方がない。彼は自分がそれだけの禁忌を犯したと納得している。  故に、聖杯戦争に召喚された彼の望みは、ただ一つ。  『主を守り、友を守り、禁忌を破らず戦うこと』  つまり、戦士としての礼節を挽回することである。 「マスター……貴方という人はっ!」 「けっけっけ。まあ、お前のせいじゃねえよ、もちろん。俺が無理矢理やらせたんだから、お前のせいなんかじゃねえとも  ま、それはそれとして。とりあえずそういう話は、目の前の敵を倒してからにしようぜ。  敵はランサー、そしてバーサーカー。相手にとって不足はねえだろ?」 「それは……くっ。わかりました」  バーサーカーに跳ね飛ばされたヴィマーナが、ジグザグの動きで軌道を立て直す。  同乗する主従の仲はいまいちだが、たしかに仲違している暇はなかった。  毒の雨に侵されながら、それをものともしない英雄が来る。 「んじゃこっちも切り札を切るぜ。きな、ワイルドハント!」  クロウが魔導書を開き、詠唱をすると、嵐と共に地上に大量の馬と、馬車と、猟犬が現れた。  彼が使役する魔獣の一つ、ワイルドハント。  16の馬車と、32の馬と、96匹の猟犬を一つとして数える、群体型の魔獣である。  その由来はヨーロッパにおいて嵐そのものを擬獣化させたものに由来する。  とにかく数が多い。クロウの使役する三体の魔獣の中では防御兼移動役になる。  これを盾にして、アーチャーは攻撃に専念するのがクロウがとっさに立てた戦術だった。    配置      クロウ+アーチャー/ワイルドハント:バーサーカー+ランサー/籐河+アンジェ      IV:バーサーカー、ランサー、アーチャー、ワイルドハント、籐河、クロウ、アンジェ   冒頭宣言    シーン中、飛行してない対象に肉体的達成値マイナス6、肉体的継続ダメージ6。  クロウ    :ワイルドハント召喚。  アーチャー  :攻撃専念 HP−14、MP−21  ワイルドハント:防御専念。達成値−10、6ダメージ  バサカ    :シビュラの託宣起動。行動済み。HP−60  ランサー   :アネモイ起動。10点消費。ターン中敏捷+10an5。達成値−1、6ダメージ  アンジェ   :ディバインバスター起動。達成値−1、6ダメージ  籐河     :無色結界起動。達成値−6、6ダメージ 「げほっ……わりい、長くはもたねえ……!」 「ウェヒヒヒ。私もさすがにこれは防げないかな。もって2ラウンドだよね」 「わかった……! 行け、アネモイ!」    ランサー行動:ワイルドハントに攻撃      47ANG5+4ANG4+4ANG4-1(ころころ……) [1,2,6,6,5,(中略),6]+[5,5,2,5]-1 = 39 "    ワイルドハント防御"      35ANG5+10ANG5-10(ころころ……) [2,5,3,4,1,(中略),4,1,3,4,3]-10 = 30    差分9+24−15=18ダメージ。  ランサーが疾風そのものの速度でワイルドハントの群れに突っ込む。  彼女のふるう斧と、なにより風の馬の速度によって、数頭の猟犬と、二台の馬車が吹き飛んだ。  それでも全体からしてみれば2割程度の損害だ。  その隙に、体勢を立て直した黄金戦闘機が、両翼からビームで、上空を通過しながら絨毯爆撃を敢行した。    アーチャー行動:HP回復5、MP回復5。瞬間魔眼で回復      6ANG3+4ANG4(ころころ……) [1,3,1,3,4,4]+[6,3,3,5] = 6。6点回復3点消費。 "     対軍全体攻撃。"      46ANG5+10ANG5(ころころ……) [5,2,4,3,4,(中略),4,1,1,5,3] = 51 "    バーサーカー対軍防御"      33an5+4an4+5an5 [3,2,6,6,3,(中略),6,3,2,2,5]+10 = 41    差分10+27−15=22ダメージ。 『これから述べる掟と法は、あなたたちが地上に生きている限り忠実に守るべきものである』  その爆撃を、更なる爆撃でバーサーカーが迎え撃った。  バーサーカーの周囲に浮遊する無数の鉄片が炎の魔力を宿して、次々に打ちこまれてくるビームを迎撃する。  お互いにマシンガンをフルオートで打ち込み合っているようなものだった。  撃ち漏らしたビームがバーサーカーを焼き焦がす。 「当たった……けどっ!」 「それでも立ってるのかよ! 普通の英霊ならさっきの『アグネア』も含めて3回は死んでるぞ、おい」 「ウェヒヒ。人間の強度じゃないからね……まあ、それだけなんだけど」  ワイルドハント:特になし  籐河     :ランサーに強化魔術  クロウ    :アーチャーに財産点使用。6D(ころころ……) [4,6,6,1,2,2] = 21。21点回復。 「げほっ……バーサーカーのマスター!」 「なに? 籐河君」 「アーチャーを狙ってくれ、今なら当たる!」 「ふうん? ま、いいけど……『光の矢(ティンクルアロー!)』」  アンジェリカが無造作に弓を引き絞り、背中から翼状の魔力を放出し、極太の光をぶっぱなす。  クロウの指示により、その射線をワイルドハントが塞ごうとして――――呪いに縛られ、その動きが出来なかった。  その原因は、先程のランサーの一撃である。  彼女の持つ斧――――『不和の戦斧(エリス・ラブリュス)』 は、常動利器型宝具である。  その効果は、攻撃を当てた相手に不和の呪いをかけること。  呪い自体はほとんどすぐに効果を失うが、呪いを受けた相手はほんの少しの間だけ、チームワークという概念を失う。  つまりカバーリングが不可能になるのである。  光の矢が、攻撃に専念していたアーチャに直撃した。    アンジェ:アーチャーに攻撃、MP13消費。      40ANG5+10ANG5+6-1(ころころ……) [1,6,1,3,1,(中略),2,6,4,5,4]+6 = 46 "    ラック"      10ANG5+46-1(ころころ……) [3,4,2,3,2,3,4,1,6,6]+46 = 53 "    アーチャー防御"      36an5+3an3=[6,2,4,6,4,(中略),5,6]+[4,2,3] = 33 "    20差命中。カバーリング不能"    20+23−12−3=28ダメージ。 「くうっ……!」 「げえっ。おいおい、大丈夫かよアーチャー。さっき回復してなかったら即死してたぞー」 「だ、いじょうぶですっ……ドローナの息子ともあろう者が、この程度でやられはしないっ……!」 「ウェヒヒヒ。なるほどね。ランサーの切り札はそれなんだ……いやらしい宝具だね」 「別に隠してたわけじゃねえ! 今までまともに当たる相手がいなかっただけだ!」 「トーガ……あとでひどいから」  合計   クロウ  :消費なし   アーチャー:HP 6/34 、MP34/38   バサカ  :HP52/134、MP32/42   ランサー :HP38/44 、MP20/35   籐河   :HP12/18 、MP 9/15   アンジェ :HP12/18 、MP18/31
 第2ターン    配置      クロウ+アーチャー/ワイルドハント:バーサーカー+ランサー/籐河+アンジェ      IV:バーサーカー、ランサー、アーチャー、ワイルドハント、籐河、クロウ、アンジェ   冒頭宣言    シーン中、飛行してない対象に肉体的達成値マイナス6、肉体的継続ダメージ6。  クロウ    :ワイルドハント召喚。  アーチャー  :特になし  ワイルドハント:防御専念。達成値−10、6ダメージ  バサカ    :シビュラの託宣起動。行動済み。  ランサー   :10点消費。ターン中敏捷+10an5。達成値−1、6ダメージ  アンジェ   :攻撃専念。達成値−1、6ダメージ  籐河     :達成値−6、6ダメージ 「げほっ……やっべえ、そろそろまじでやっべえ……!」 「ウェヒヒヒ。そうだね。次の攻撃で倒せなかったら、逃げることを考えようか」 「それじゃランサー、またさっきみたいにあいつらを……」 「ううん。焼き尽くした方が早いよ―――バーサーカー!」 『わたしの魂は沈黙して、ただ神に向かう。神にわたしの救いはある――――!』  バーサーカーがワイルドハントに向かって、最大出力でシビュラの託宣を解き放った。    バーサーカー行動:ワイルドハントを対軍2回攻撃。属性が混沌悪なのでMP15消費。      33ANG5+4ANG4+5ANG5+30(ころころ……) [4,3,2,2,3,(中略),3,5,3,4,1]+30 = 65 "    ワイルドハント防御 "      35ANG5+10ANG5-10(ころころ……) [2,5,3,4,1,(中略),4,1,3,4,3]-10 = 30 "    差分値35。35+24−15=44*1.5=66ダメージ。2回。即死!"  ドドドドドドッ!  莫大な炎の魔力を封入された鋼片が、夜の嵐を消し飛ばしていく。  バーサーカーの炎は神罰という側面と持ち、相手の属性が混沌悪の場合、最大の出力を発揮する。  かつ、シビュラの託宣はそもそも対軍宝具であり、ワイルドハントは軍勢系。  つまりは相性が最悪であり――――16の馬車と、32の馬と、96匹の猟犬は、全てが軒並み吹き飛んでいた。 「うっへえ……げほっ」 「まったく。こんなことにしか能がないなんて、吐き気がするよ、英霊なんて」 「……とにかく、道を開いてくれてありがとう。この一撃で……決める!」  ランサーが愛馬と共に駆ける。  風を蹴り、立体的な機動をするヴィマーナに、超絶の技術と速度で追いつき、すれ違いざまに斧を叩きつけた。  角度、速度は充分―――致命傷である。    ランサー行動:アーチャーに攻撃      42an5+5an5+4an4+4an4-4(ころころ……) [4,2,4,4,2,(中略),4]+[3,1,3,4]-4 = 46 "    アーチャー防御"      38an5+5an5 [2,6,5,4,2,(中略),1,4,4,3,4] = 35    11差命中。11+24−17=18ダメージ。 「ごめん……しくじった!」  だが、落下しながらランサーが叫ぶ。  たしかに。今の一撃は傷ついたアーチャーを仕留めるのに十分だった、が    クロウ令呪使用でダメージ軽減。ノーダメージ。 「けけけっ、あっぶねえなあ。今の令呪使ってなかったら死んでたろ」 「くっ……ありがとう、ございますっ……!」 「けど、今ので最後の令呪だったんだよなー。もう反旗翻されても抑えられないよなー。おおこえー」 「そんなこと……するわけがない! 僕は今度こそ、主と友を……!」  黄金船の上で言い争う主従。  そのやり取りを、咳をしながら眺めながら、籐河は冷や汗をかいていた。  おそらくもうすぐ自分は限界を迎える。ランサーが次の攻撃機会を得る前に、だ。 「やっべえ……いったん逃げるか?」 「ウェヒヒヒ。私も耐久力そのものは人並だからね。その意見に賛同したいところだよ」 「だが……」 「令呪を使えば、いけるっていけばいけるよね」  もちろんこの同盟は有限であり、手札は伏せ、消耗は少なくしたいのが本音である。  特にアンジェはバーサーカーを駒扱いしているとはいえ、多大な損害を受けてしまっている。  退避するタイミングとしては悪くない……が  その時  岬の灯台があった方向で――――凄まじい斬撃と、断末魔が響き渡った。

  GM  : 2ターン目の途中まで!
  クレダ : 具体的にはどこまででしょうか。
  GM  : アーチャーの行動の前。読み終ったら進めましょう。
  セイバー: IV的に、アーチャーの方が先ではないか?(笑)
  GM  : おいらもそれは思ったが。次のターン回ったら2名死ぬ人がいるから。         このターン中にけりをつけるためにIV関係をちょっと遅らせてあります。
  セイバー: と、言っても、拙はもう行動済みであるが。
  GM  : はい。アーチャーの行動。