第三次月詠聖杯戦争四日目 朝〜昼パート1

  GM  : おさらいと相談でもしておいてください。
  セイバー: ナターシャと話したである!         アンジェリカとも話したである!         ライダー達を助けたのである!
  クレダ : ナターシャ女史は、眼を覚まさない子供たちをつれてましたよね。         魂が抜けていて、体の時間が止まったようになっているんでしたっけ。         そういえば、アンジェさんも、成長をまったくしてませんでしたが…何か関係があるんでしょうか。         あと、助けてもらったのはライダーじゃなくビリー君です(ここ重要)
  GM  : 行動方針的には?>4日目の
  セイバー: とりあえず、朝は寝るであるか?
  クレダ : そうですね。
  セイバー: あ、一応申告、MPは3点減少である。
  クレダ : その後は…、私としては、クロウか、アダムの上司について調べたり、探したりしたいところです。
  セイバー: あと、キャスター達の陣地移動のあれこれであるな。
  クレダ : そうですね。まあ、細かいことはナターシャさんに丸投げするとして、         こちらがやるのは、実際の護衛と、他グループへの連絡、くらいですか。         あと、できたら、自分の過去について調べたい・・・けど、アテがあまりないんですよね。         最後の手段、叔父さんに頼るかな。いや、夢イベントでわかるか。
  セイバー: まぁ、連絡すべきは父殿、ランサーは鉄板であるか?
  クレダ : そうですね。
  セイバー: 上手く行けば拙、ランサー、キャスターの3人で同盟とか頭おかしい事になるのである(笑)
  GM  : それじゃあ4日目始めようか!
  クレダ : はい。よろしくお願いします。
  セイバー: うむ。では、よろしくお願いするのである。
  GM  : まず夢イベントから処理しましょう。
  クレダ : 今夜は私の過去の番ですね。
  GM  : ……         ………         貴女は戦っています。         正確には戦う少女を援護しています。
  クレダ : 戦っている相手はわかりますか?
  GM  : あなた達が戦っているのは、屈強な体躯を持つ人型の怪物……レベル5蛮族、オーガ
  クレダ : そ、そーどわーるど。(笑)
  GM  : それが3体。戦っている場所は商店街です。         住人達は既に店の中に避難しています。         そしてあなたの援護を受けて舞うように戦っているのは、金髪の少女。
  クレダ : マリーザですね。
  GM  : その胸は豊満であった。
  クレダ : おい。(笑)         ついついマミーザといいたくなるじゃないですか。         というかカードランカーのNPC解説みたいなこと言わないでください(笑)
  GM  : マリーザ「さあ、一気に決めさせてもらうわよ!」         無数の銃を召喚して弾幕を張っていた彼女が、巨大な銃を召喚します。         マリーザ「援護お願い、クレダさん!」
  クレダ : じゃあ、まだ不慣れなのか、怪我して血で赤く染まった足を引きずりながら、呪文をとなえます。         「お願いします、マリーザさん…」         しかし、おそらく魔術のためなのでしょう、既に傷はふさがっている。         「風よ。力を貸して…」
  GM  : マリーザ「ティロ、フィナーレ!」         どっごおおおん。         戦闘終了。
  クレダ : ………         も、もうマミられる未来しか見えない!(笑)
  GM  : その後しばらくして、マリーザとクレダは戦闘終了後のお茶会をしています。
  クレダ : でも当時の純粋な私は「さすがマリさん!」と尊敬を深くするばかりなのでした。
  GM  : マリーザ「今日はオリヴィアさんがこれなかったけど……」
  クレダ : 「どうしたんでしょうね」
  GM  : マリーザ「そうね。いつもなら真っ先に来るのに」
  クレダ : 「何かあったんでしょうか?」
  GM  : マリーザ「でもクレダちゃんがいてくれて助かったわ」
  クレダ : 「いえ、私だけじゃ何もできませんから。全部先輩のおかげです」         レベル5のマギテックとプリースト・コンジャラーで戦闘はきついです。         後衛しかいない。無理。
  GM  : マリーザ「私はこれでも、魔法少女の中では最古参だから―――              ―――あっ、年をそんなに取ってるわけじゃないわよ? まだ15だし」         マリーザは射手の回避ができるんだよ(適当)
  クレダ : それ7レベルじゃないですかぁー!         まあ、ゴーレムを作って壁にしたりとか、手段はあるけれど。
  GM  : 実際マリーザだけかなりレベル高い。
  クレダ : ううん。さすがマリさん。
  GM  : 本人も言ってますが階級も上だし、最古参ですね。
  クレダ : (そのせいで胸があるんですね…)         くっ。
  GM  : マリーザ「そうね。話したことあったかしら……私はみんなとは違って自分の親のことを知っているの」
  クレダ : 「え? …」         自分の家族のことを思い出して、憂鬱な気持ちになり。         「どんな方だったんですか?」         と、暗い表情を押し隠しながら言います。
  GM  : マリーザ「生きてるわよ。そういう意味でも、みんなとは素性が違うの。              あ、そういえば……固形物はダメだったのよね。ごめんなさい」
  クレダ : 「あ…いえ、気にしないでください」
  GM  : マリーザ「もう少し風味のあるものが用意できないか、お父様に聞いてみるわね」
  クレダ : …GM、マリーザの本名はわかりますか? 具体的には、姓名。
  GM  : いえ。ここではみんな名前だけで呼び合っていましたから。
  クレダ : わかりました。         「マリーザさんのお父様って、偉い方なんですね」
  GM  : マリーザ「私の姓は、マックス。みんなを魔法少女に改造した、ネイビア・マックスの娘なの」
  クレダ : か…改造。物々しい。
  GM  : 改造……まあ他に表現のしようがない!(笑)         マリーザ「……偉くなんてないわよ、あんな人」
  クレダ : 「…そうですか?          私は、マリーザさんやオリヴィアといられるから、ちょっとだけ感謝してますけれど」         と、マリーザの手前、言うけれど、さすがに好きではなかった。         嘘じゃないし、建前でも無いけれど。体を好き勝手されて、すきと言えるほうがおかしい。
  GM  : マリーザ「でもあなたがケーキと紅茶を楽しめなくなってしまったのも、私達のせい。              ……ごめんなさい」         深々と頭を下げます。
  クレダ : 「そんな! 謝らないでください。          マリーザさんは優しいし、いつも助けてくれるし…、そのこととは関係ないじゃないですか」         そして、そういう清廉潔白なところを尊敬してもいた。
  GM  : マリーザ「それは私が元々魔術師の娘だからなの。そういう風に育てられて、そういう覚悟はできていた」
  クレダ : 「魔術師…」
  GM  : マリーザ「でもあなた達は関係ない……どことも知れないところから集められて、巫女として改造されて……              だからせめて私は、あなた達を助けたくて……でも責められることが嫌で、いい出せなくて……」
  クレダ : 「…」         これまでは、マリーザとオリヴィエがいてくれて。         体のことはあるけれど、それなりに幸せだったから、あまり考えようとはしなかったけれど。         もしかしたら、私は不幸なのかもしれない。と、その時、ちょっとだけ思った。
  GM  : ところで巫女という言葉で、電撃的にクレダは理解します。いや思いだしたと言った方がいいか。
  クレダ : はい。
  GM  : 君たちの役目は、このヴェルテポの街で魔法少女、あるいは巫女として祈りをささげること。         そして街に発生した穢れをさっきのように打ち払うことです。穢れ=モンスターですね。         この街ではモンスターが出ることは日常茶飯事。
  クレダ : 完全ソードワールド。一般市民はいるんですか?
  GM  : 町民はいますよもちろん。魔法少女には感謝して彼等も祈りをささげています。         クレダ自身も当時は全く不思議には思っていませんでしたが         ある種の異界に片足を突っ込んでいる町……ということですね。
  クレダ : なるほど。
  GM  : さておき話を戻しましょう。
  クレダ : はい。
  GM  : マリーザが泣きながら頭を下げているんでしたね。その胸は豊満であった。
  クレダ : これそういうシーンじゃないから!(笑)
  GM  : 仕様です。
  クレダ : じゃあ、よく考えてからこう言います。         「…私は。私は、マリーザさんがいい人だって知ってますから。それで十分です」
  GM  : マリーザ「……いいの?」
  クレダ : 「オリヴィエだって、きっと、ハッキリ『謝らないで』っていいますよ。          『そんな理屈で、マリーザさんと一緒に戦ってたわけじゃない』って」
  GM  : マリーザ「ありがとう……私ずっと一人ぼっちで、泣いてばっかりで……」
  クレダ : 「心配しないでください。これからは、私達がいますから。          何ができるかわからないけれど、一緒にいますから…」
  GM  : マリーザ「私、一人じゃないの?」
  クレダ : (私達、一人じゃ、ないですから)         「はい。私も、マリーザさんも、もちろんオリヴィエだって」
  GM  : マリーザ「こんな気持ち初めて。もう何も怖くない!」
  クレダ : “…やめて”、と私が叫んだ。この光景を思い出している、今の私が。
  GM  : という感じで夢終わりです。
  クレダ : あああああ、言いたくない。言いたくないけど言うしかない。         マリーザさん…くそー。
  GM  : 彼女の運命をクレダは既に知っていますからね。
  クレダ : じゃあ…過去の私が感じてたであろう、ほんわかした気持ちと、         今の私が感じている胸の痛みを一緒に覚えながら目が覚めます。
  GM  : おそらく……君たちを守るために死力を尽くして戦ったんでしょう。
  クレダ : (…この苦しさは…郷愁? それとも、罪悪感?)
  GM  : それでも全員死んでしまったことに絶望しながら死んでいった。

4日目 昼 廃屋


  GM  : というわけで朝行動終了です!         メールの準備をしているので適当にセイバーと会話していてください。
  クレダ : まずHPとMPを回復させます。         (ころころ……) [2,3] = 5         MPは…礼装で引かれてる分を考えると、最大値が44なので、22回復。         27まで戻ってきました。
  セイバー: 『お、マスター、起きたであるか?』
  クレダ : 「…セイバー」         ぼんやりとした瞳で、セイバーの方を見ます。
  セイバー: 相変わらず兎ぐるみ姿で縁側待機である。
  クレダ : 目じりに少し涙が浮かんでる。
  セイバー: 『うむ。おはようなのである、マスター』         にょっきり家の中に入るのである。
  クレダ : 「セイバー…、あなたは、泣きながら目を覚ましたことってありますか?」         おはよう、というのも忘れて、聞きます。
  セイバー: 『ふぅむ』         ぽむぽむと頭を叩いて。         『そもそも、拙は【寝た事が無い】のである、マスター』
  クレダ : 「え…? サーヴァントになる前も?」
  セイバー: 『そうなるであるな。だから、夢を見るとか、泣きながら目覚めるとか、拙には解らないのである。が』
  GM  : さすが架空英霊。
  セイバー: 『起きてる時に泣いてる者は見た事があるのである。          あまり泣いて欲しくないのである。マスターの夢の中まで拙は行けないであるからな』         マスターの頭にぽんと手を置いて。
  クレダ : 「…努力します」
  セイバー: 『安心するである、マスター。拙は何も言わずに消えたりしないのである』
  クレダ : 「はい…信じます」         と、セイバーの鉄面皮を見ながら言います。
  セイバー: 『うむ!』
  GM  : まさに鉄面皮(笑)
  セイバー: 今は兎であるがな(笑)
  クレダ : わ、私の目は透視もできるから。きっと透視したんです。
  GM  : メールを出しますね。 監督役からのお知らせ  現在脱落したサーヴァントはいません。  小聖杯を所持しているのは、アダムです。  家事能力がある脱落者を急募します。 ・ アンドレからのメール  キャスター陣営についてはありがとよ。  後で時間があれば詳細な報告頼む。  お前の見立てで倒すべき参加者はいるか? ・ クロウからのメール  原発に張ってるキャスター陣営をタコ殴りにしようぜ。  今三組集まってるんだけど一口どうだ。  その気があるなら返信してくれ。 ・ 籐河からのメール  ちょっとヤバいことになったから連絡頼む。  詳細は幕間。 ・ キャスターからのメール  現在移転準備中。  移転先の予定は中天島。  待ちあわせは1900、原発区南海岸にて。   GM  : 幕間は現在準備中です。まあ動画メールみたいなものでしょうか。
  クレダ : キャスターについては、「OK」という内容の返事でいいでしょうね。         藤河さんは幕間待ち。

3日目 深夜 王子岬/水野屋


 王子岬の一角にある海鮮料理屋『水野屋』は、  地元の漁港でとれた海産物をリーズナブルな値段で提供してくれる良店である。  主なメニューは海鮮丼、刺身定食、板前寿司。季節に合わせた一品物など。  一階は一般客用のカウンターや座敷が並び、二階は予約や宴会用の座敷が並んでいる。  もちろん深夜は営業時間外だが、無人のはずの水野屋の二階。最も上等な部屋に明かりが灯っていた。 「さあ特上寿司を用意したのじゃ。遠慮せずに食べていいのじゃぞ」  座敷の上座で満面の笑みを浮かべ、少女にみえるババア――  ――赤座法鈴が、机の上に並んだ人数分の板前寿司を勧める。  彼女は表裏共に地元の有力者であり、無理を言って水野屋にこの席を用意させたのだった。  (ただし彼女自身の前にあるのは豪華な精進料理だった)  しかし法鈴の勧めに対して、素直に箸を進める者は少ない。  むしゃむしゃと不機嫌そうに素手で寿司を食う赤座籐河。  物珍しげにネタをめくっているランサー。  触手も総動員してものすごい勢いで食べているモンスター。  その程度である。  クロウは表情の読めない糸目でモンスターに呆れており  ネイビアに至っては、寿司に対して露骨に侮蔑の視線を向けていた。  従者の分を守っているのか、アダムとイヴも寿司には手をつけようとはしない。 「生魚をライスに乗せたものを料理と言い張るとは野蛮なものだな。  特になんだ、このデビルフィッシュは。こんなものが食べられるか」 「テンプレな反応乙なのじゃ。カルフォルニアロールとか、この店で頼めると思わぬことじゃな」 「いらないなら私が貰うでゲソ!」 「私の故郷にもあったさ。こんな野蛮な食事とは比べ物にならないほど高尚な料理がな」 「つーか婆さん、食事はいいから本題始めようぜ」  クロウがモンスターに自分のぶんの寿司を押しやりながら、話を進める。  今この部屋に集まっているのは  クロウ=メルヴェールとモンスター。  赤座法鈴と赤座籐河、ランサー。  ネイビア=マックスとアダム、キャスター(イヴ)。  サーヴァントが3人。人間が4人、ホムンクルスが一体。  彼等の共通点は聖杯戦争参加者であること。  そして第三次月詠聖杯戦争の開催側、いわゆる『御三家』ということである。  特にネイビア、クロウ、法鈴は月詠式設置にあたっての、十年前からの付き合いである。  (最も仲がいいわけではなく、極めて魔術師らしい冷然とした関係ではあるが)  この場で発言権があるのも、この三人であった。 「さて。まずは第三次月詠聖杯戦争の無事の開催を祝そうかの」 「結婚式じゃねーんだぞ。さっさと本題に入れよ」 「同感だな。三日目でこの集まりを主宰した以上、聖杯戦争の推移に関わる重大事かと思ったが」 「せっかちな連中じゃの。まあいい。とりあえずこの三日で、参加者は大体確認したと思うのじゃが」  時計塔ロード、クロウ=メルヴェール。  ヘルメスの瞳のホムンクルス、アダム=ツヴァイ。  赤座家の魔術使い、赤座籐河。  謎の科学者、ナターシャ=カミンスキー。  悪魔祓い師、ビリー=マクスウェル。  灰かぶり、アンジェリカ=チェチーリア。  聖堂協会の司祭、クレダ=リヴェレンテ。  三陣営の情報をまとめると、今回聖杯戦争はこのような面子になる。 「聖堂教会関係者が二人も噛んでるって、監督役の中立性どうなってるんだよ。絶対あいつ黒幕だろ」 「意外と本気でこの聖杯が本物だと見定めたのかも知れんぞ、にょほほ」 「馬鹿を言うな。この小聖杯の来歴については聖堂教会にも通達はしてあるのだろう」 「まあな。アストラル界から現出した、無限の釜の『原型』……  魔術師や一般人にとってはお宝だが、坊主にとっちゃ無用の長物だわな」 「おいおいわらわも坊主じゃぞ」 「聖堂教会の意図ではないとなると個人参加者だが……どちらにしろこの二名が同調してるだろうことは間違いない」 「サーヴァントはセイバーにライダー。これはまたかったいクラスじゃな」 「マスター能力も厄介だぜ。特にセイバーのマスターはヴェルテポの生き残りだ」 「ほう。となると私の作品か。シリアルナンバーは?」 「知るか。ヴェルテポっていや、カルロの娘も来てるんじゃねえか。そっちとは連携はしてないみたいだけどよ」 「封印指定か。ぜひそのデータも取りたいところだな」 「おいおい。お前たちの厄介ごとはそっちで片付けてくれなのじゃ」  三人の魔術師による会話を横に、ランサーは首をかしげて自らのマスターにささやいた。 (ねえトーガ。この人たちは何を言いたいの?) (あー、腹の探りあいというかなんというか……まあ同盟の打診だよ) (そうなの?) (あとこの三組で潰しあいしてる間に、他の参加者にやられたらしゃれにならないから……ってババアが言ってた)  とりあえずこいつが危険なサーヴァントには見えないしな、と。  籐河は寿司をがっついているモンスターをみて判断した。  アダムとイヴ(キャスター)は壁際に座って話をしている。  アダム自身は好戦的で厄介な奴だが、そのサーヴァントは見るからにおとなしそうだ。  どちらかといえば机で話している、いかにも魔術師然とした神経を持つ三人のほうが、籐河にとっては気に食わなかった。  とはいえ、彼もまた祖母にはそうそう逆らえない理由がある。 「まあ、教会関係者も封印指定も一応はこっち側。節度はわきまえてくれるじゃろ」 「そうだな。やはり問題は原子力発電所に陣地を構築した愚か者だろう。これは明らかに聖杯戦争の規定違反だ」 「原発ってあれだ。攻撃すると爆発するんだろ?」 「たしかそうじゃ。そしてその土地は何百年か人が住めなくなるんじゃな」 「大雑把過ぎる認識だな。これだから家伝魔術師という人種は……これでは私は同盟など組みたくなくなってしまうぞ」 「まあなんだ。そんなところにしかもキャスターが篭ってるんだろ。  これは懲罰すべきじゃねえか? おっとそっちもキャスターだったな、けっけっけ」 「キャスターの癖に毎晩出歩かせられるとは、無能な主にも困ったものじゃのう。にょほほ」 「ふん。私がそんな挑発に乗ると思っているのか」  三人が話しているのは、当座誰を脱落させるかという相談だった。  別に心底、原発を陣地にしたことを問題しているわけではない。  仮に原発が爆発して大被害を引き起こしても、彼らは何も良心の呵責など覚えないだろう。  魔術師とはそういう人種である。  そもそも聖杯戦争自体が街一つを巻き込んだ戦争なのだ。それを主導した三人が、今更何をいわんや、である。  この話し合いの目的はヘイトの矛先を決定するための茶番に過ぎない。  それは傍で見ている籐河にも良くわかっていた。モンスターは腹がくちくなったのか、丸くなって寝ている。 (とはいえ実際、原発を根城にする奴は、周辺被害を何も考えてないのは事実、か) (じゃあトーガもこの話には賛成なの?) (結論だけにはな……けどさすがに原発に殴りこむなんて話には賛成できねえぞ)  籐河が片膝を立て、厭味を応酬する魔術師三人の会話に口を挟む。  正直場違い感が半端ではない。根本的な価値観が異なるのだ。 「おい、まさか原発にサーヴァントで殴りこむんじゃねえだろうな?」 「それ以外に一体何があるんじゃ? まあどうせ神秘も伴っていない科学の爆発じゃからな。  サーヴァントだけで行かせるのがいいじゃろ」 「てめえこのババア!」 「だから爆発などしないと言っているだろう……異常が起これば停止するのだから、せいぜいが放射能漏れ程度だ」 「マスター」  今度は彫像のように控えていたアダムが口を挟んだ。  ネイビアは面倒くさそうに「どうした」と先を促す。 「クレダ=リヴェレンテが現在、原子力発電所のキャスター陣営と退去について交渉中のはずだ」 「それがどうした」 「せっかく原発大戦争になりそうなのに水をさす奴じゃのう」 「ま、出てきてくれるならちょうどいい。失敗したら他の連中にも呼びかけて総攻撃、成功したら移動中をやっちまうか」 「そんなところか。では細部の詰めはメールで行うとしよう」 「色々おかしいだろそいつは!?」  原発に総攻撃をかけるなど事故を誘発するようなものだし、  退去するとなれば明白な違反ではなくなるので大義名分がなくなる。  結局、三人にとってキャスターを潰すと言う結論が先にあり、  後はそのための理由付け、ヘイト付けでしかないのである。  籐河が「ダメだこいつら、早く何とかしないと」という顔になったのは価値観の違いだ。 (いい方法があるよ、トーガ) (おお、こうなったらお前だけが頼りだぜ、ランサー) (私たちだけで原子力発電所に乗り込んでキャスターを討ち取ろう) (人の話聞いてなかったのかてめえ! 脳筋が!)  自分のサーヴァントを見捨て、壁際を膝立ちで回ってアダムとキャスター(イヴ)に近づく籐河。 「おいお前らそれでいいのか? 特にキャスター(大人しい方)。お前戦闘能力ないだろ?」 「ええと……心配してくださってありがとうございます」 「問題ない。俺も同行する」 「原発攻めだぞ? 正気か?」 「被爆したところで、俺の寿命はもともと長くない。その程度の危険は使命のうちだ」 「お前なあ……命は大事にしろよ」  ちなみにモンスターはお腹がくちくなって寝ていた。  それからしばらく御三家会議は続き、無意味な嫌みの応酬が止まらなくなったあたりで閉幕となった。