月詠聖杯戦争8日目 夜パート2

8日目 12/21(水) 10:00 月詠市上空


「さてと……それじゃ行きましょうか」 「ああ」 「命令よ、アヴェンジャー。悪いけど死んでちょうだい」 「わかった」 「……まあ、わかってたけど死守命令の出しがいがないわね」 「わかっているはずだ。むしろここまで長引いたのが不思議なほどだ」 「まあ、ね。けどまあ……アヴェンジャー。この一週間。悪くなかったわよ」 「あれだけ毒づき扱きおろしておいて何を今更だ?」 「なんていうか。貴方が私の心の投影だとしても、それでもお礼を言いたくなったのよ」 「ではやめるか?」 「いいえ、やるわ。あたりまえでしょう」   アヴェンジャーと美樹はそんな雑談をしながら月詠市上空を、乗騎で飛行していた。   寒空の下だが学習したのか、青火車の炎で暖房は完備している。   バーサーカー組との約束では駅前で待機しているとのことだったが、ガン無視の行動である。   目指す先は教会。   アサシン組が潜んでいるだろう拠点である。   潜んでいなければ潜んでいないで、霊地として確保できれば都合がいい。 「しかし思うのだが」 「なに?」 「上空からまっすぐ突撃とは、狙撃のいい的ではないか?」 「だから最初から、青火車も偽神五兵も全開で来てるんじゃない。まあ寝てれば見つからないかもしれないし」   そんなはずがなかった。 [奇襲狙撃発生]   線を巻いて円に   円を重ねて螺旋に    『妄想翼線・螺(ザ・バーニャ)』   教会の尖塔から、円錐状に束ねられた直死の渦が、空をゆくアヴェンジャーに向かって無音でぶっぱなされた。   言うまでもなくアサシンの必殺宝具。長距離狙撃型の妄想翼線である。   一度はアヴェンジャーを瀕死に追いやった一撃。手傷を負った今の状態で食らえば、即死は間違いない。 [状況    アヴェンジャー、火車、偽神五兵起動 HP-67 MP-0    美樹 MP-31    アサシン 無傷    トリファ トリファ礼装起動 MP-5        アサシン奇襲 23ANG5 = [4,3,3,4,4,2,3,3,3,5,4,3,4,4,4,1,3,6,1,3,1,3,1] = 22        アヴェンジャー奇襲抵抗 6ANG3+8ANG5 = [3,3,2,3,2,6]+[5,5,1,1,4,5,5,4] = 13        アサシン 妄想翼線 68an5+9 63ANG5+9 =  [4,6,6,2,5,(中略),1,2,5,1,4]+9 = 65 攻撃力79] 「偽神五兵・飢餓地獄(ゴッドフォース・グラトニー)!」   対してアヴェンジャーの対応は単純明快だった。   既に単発形態にして、チャージを終了していた偽神五兵の砲形態を教会に向かってぶっ放したのだ。   完全回避は出来ないが、察知程度は出来る。   そして教会自体には届かないが、教会から飛んでくるものは相殺できる。   狙撃に対して砲撃で対応するようなものである。   アヴェンジャーが構えた弓砲から、紫色の禍々しい波動がぶっ放され   空中でぶつかり合い、鍔迫り合い、ほぼ完全に相殺した。   無音の爆風を切り裂いて、青火車が教会に突進する。 [アヴェンジャー A31D+B4D+30an5 31ANG5+4ANG4+30ANG5 = [4,5,6,1,2,(中略),3,5,2,6,1] = 55 攻撃力81          差分2,アサシン0ダメージ] 「やったー、作戦成功!」 「ずいぶん大味だった気がするがな……!」 「ここまで近づけば第一段階成功よ。奇門遁甲陣図、敷設!」   教会に充分接近したと判断した美樹が、懐から巻物を取り出しその端を解き放つ。   巻物がひとりでにほどけ、風に乗って何百mと伸び   教会の周囲を一周する形で地面に張り付くと、凄まじい蒸気を吹きだした。   見る見るうちに、教会周囲が霧で包まれていく。   これが彼女が用意した最後の対軍礼装。奇門遁甲陣図である。 [美樹 奇門遁甲陣図使用 MP-8] 『奇門遁甲陣図』  種類:結界 形態:継続 対象:対軍  ランク A ダイスボーナス 5 追加効果  達成値マイナス 魔術  魔術で出入り  移動不能 説明 美樹が作成した結界礼装。 巻物の形状をしており、展開することで周囲に張り付き、結界を発生させる。 結界内は霧の迷路となっており、視界を阻害し、使用者は出入り口を自由に設定できる。 本来は軍勢を待ち伏せさせるためのもので、KOMEIがよく用いた。 一度展開すると移動不能になる固定式。 「ようこそ月詠教会へ。迷える子羊よ、懺悔なら受け付けていますよ」 「……まさかあれをげいげきするとは」   教会の扉が開き、ヴァレンタイン=トリファが出てくる。   その横に、音もなくアサシンが降り立った。   霧で視界は遮られているはずだが、その視線はしっかりと空中を旋回するアヴェンジャー組を捉えている。   偽装は効果が薄いと判断し、美樹も声を張り上げた。 「あんたのところの教会は、いきなり宝具で狙撃するのが流儀なわけ?」 「戦争中ですので。しかし一本取られましたね。これでこの霊地は貴方が確保したということですか」 「ふん。みずからたいようのひかりをさえぎるとは、ばかなやつ。これでいくらでもあいてにできるぞ」 「やはり太陽光が弱点だったのだな」 「あと流れ水とか銀製武器とかも弱点なんじゃない? 十字架はなさそうだけど」 「なぜわかった!」 「正直は美徳ですね」 「うわー、もうなんかうわー」 「ゆくぞ、マスター!」   どんなにバカでも相手はまぎれもなく強敵である。   アヴェンジャーと美樹は霧を裂いて青火車を旋回させ、アサシン達に相対した。 [状況    アヴェンジャー HP30/102 MP0/32    美樹 HP18 MP10/44    アサシン HP42/42 MP15/48 結界MP20/20    トリファ HP14/14 MP31/36 結界MP20/20 配置   美樹+アヴェンジャー:アサシン/トリファ   IVアサシン19,アヴェンジャー19,美樹9,トリファ6]   先手を取ったのはアサシンである。   それも当たり前で、今や彼女はランサーを差し置いて全サーヴァント中最速を誇る。   というか今回のランサーは本当にクラス条件を満たしてるのだろうか?   さておき   呪文によって風霊を呼び出したアサシンは、それを次々に足場とした多段跳びでロケットのように宙高く舞い上がり   二丁の手斧を、全身を弓のようにたわめた後、ぶっ放した。   リアンから奪った死徒の能力と、ライダーから奪った射撃の腕前、   マスターの援護によるロックオン、そして風霊を帯びた人外魔境の変化球である。   奇門遁甲陣図の影響は、無い。アサシンは対魔力を持たないが、   彼女の仮面は結界宝具の一種であり、礼装による結界効果を完全に遮断していた。   稲妻のようなフォークと、猛禽のようなスライダー。   それぞれが砲弾そのものの破壊力で上空からアヴェンジャーに迫る。 [アサシン行動   瞬間強化 アヴェンジャーに攻撃 48ANG5 = [1,1,3,4,2,(中略),3,6,2,6,6] = 41          アヴェンジャー回避 A41D+B4D 41ANG5+4ANG4 = [4,2,6,3,6,(中略),4,5,2,1,4] = 37          4差命中 15ダメージ 無傷] 「はああっ!!」   すさまじい火花が散った。   二丁の手斧は霧結界の抵抗を紙のように破り、青火車の回避軌道をかいくぐり、   偽神五兵による防御を火花とともに打ち破り、三本の尻尾に叩き落された。   積層防御。   今の動きの中でアヴェンジャー自身の能力によるものは1/3もない。   結界による援護。青火車による機動性能。偽神五兵の自動防御。   猫耳偽装の探知能力と自動防御。聖骸布による最終装甲。   一つ一つはたやすく破れるようなもの(といってもAランクの礼装)だが、   積み重なることで桁違いの防御能力を与えていた。   いくらパワーアップしたとはいえアサシンの細腕でこれを破るのは困難だ。   まともな手段なら、である。   その手の小細工を全て打ち破る、文字通りの必殺をアサシンは保有している。 『つぎはほうぐをつかうぞ、マスター』 『どうぞお好きなように』   一方。 「ダブル火車召喚! 百万パワー+百万パワーで二百万パワー!」   美樹の召喚した火車が青火車に接続され、ジェットエンジンのように赤炎を吹き出して出力を強化する。   更に片手間で、消耗したアヴェンジャーの回復も行う。   消耗。そう、アヴェンジャーは現時点でかなり消耗していた。   前日の夜にほかならぬアサシンの奇襲によって瀕死の重傷を負い、   その夜にアサシンの騙まし討ちからマスターをかばって一撃を受け、まあ要するにアサシンのせいである。   しかも回復はバーサーカーを優先したため、アヴェンジャーの回復具合は教会を強襲した時点で3割程度。   とどめにいきなり対城礼装をぶっぱなしたため、魔力はすっからかんである。   美樹もほとんどの魔力をアヴェンジャーに譲渡しており、結界を展開した現在は余力は残っていない。 [アヴェンジャー待機 美樹 強化、回復、回復 12ANG5 = [2,4,1,4,4,3,6,1,1,6,1,5] = 10 12ANG5 = [5,3,2,5,6,3,1,2,3,2,4,6] = 10 MP10点回復]   空中に飛び上がったアサシンに、乗騎の出力を全開にしたアヴェンジャーが突進する。   霧を引き裂いて三合、二騎のサーヴァントは激突した。   風霊を足場にして、空中でありながらピンボールのよう自由自在に跳ね回るアサシンと   出力に物をいわせてそれをはるかに上回る直線速度をたたき出すアヴェンジャー。   アサシンが待ち構え、アヴェンジャーが攻める。   戟となった偽神五兵と手斧が三度火花を散らし、競り勝ったのはアヴェンジャーだった。   三度目の激突で、弾き飛ばされたアサシンが地面に落ちていく。 [アヴェンジャー   攻撃 38an5(-5) 38ANG5 = [2,2,2,3,2,(中略),3,3,1,6,3] = 35           アサシン防御 48an5 48ANG5-5 = [3,2,1,6,2,(中略),1,1,6,3,1]-5 = 34           1差命中 27-16=11ダメージ] 「げぼっ! お、押してるじゃない! あのチートアサシンを! 鉄や石じゃなく肉体同士でも必死なら火花って散るのね!」 「ゲロを吐くなら外にしろ、汚い。それから普通に金属同士の激突だ」   色々な意味で汚い主人である。   もう一人のマスターは、アサシンが上空から叩き落され、   魔力を撒き散らしながら受身をとってもまるで動揺していなかった。 「侮りましたね、アサシン」 「……ひていはしない」 「御門美樹。この聖杯戦争のマスターを格付けするのなら、彼女こそが最良でしょうね」   この月詠聖杯戦争において、サーヴァントとすら殴りあえるマスターは三人もいた。   死徒のリアン=カード。代行者の聖ニコラウス。魔剣使いのエリック=プラチナ。   彼らはもちろん常識外の使い手だが、サーヴァントを援護するというマスター本来の役割から見れば外れている。   (というかサーヴァントを使役して戦うという聖杯戦争の基本が崩壊しかねない)   サーヴァントを強化する手腕を見るのなら。やはり最も優れているのは御門美樹だろう。   礼装を次々と作成し、最弱のアヴェンジャーを一線級にまで強化した。この現状こそが証拠だ。 「しかし貴女が何を思ってそこまでするのか。それを教えてもらいましょうか」   ぱらぱらと神父が聖書をめくり   緑眼で、青火車にしがみつく御門美樹をしっかりと見やり、聖句を唱えた。 「主の命令はまっすぐで、心に喜びを与え  主の戒めは清らかで、目に光を与える」   次の瞬間。がくん、と御門美樹がのけぞった。   精神攻撃。   彼の持つ聖書は『懺悔式典』という礼装である。   その機能は、言ってしまえば携帯型の懺悔室。   告解者と使用者の精神を直結し、苦悩を解決するために問答をするという   非戦闘型礼装である。   なにしろこの礼装には情報を強制的に収奪する機能がない。告白する内容は懺悔者に一任されるのだ。   リミッターを解除しても、せいぜいが廃人にするか洗脳する程度。   つまり懺悔式典は純然とした、非戦闘型の礼装であり   ヴァレンタイン=トリファの手にあるとき、無双の凶器と化す。 [トリファ行動   MP譲渡20点          読心開始 8an4+10an5 8ANG4+10ANG5 = [1,4,6,4,3,3,6,4]+[3,4,1,2,5,3,2,2,2,6] = 15          美樹抵抗 20ANG5 = [3,5,6,2,2,2,1,5,2,5,1,2,4,3,1,3,1,5,4,3] = 19] 「くっああああああっ!」   美樹が髪を振り乱して我に返った。   何が起こったのか、一流の魔術師である彼女は一瞬にして見抜いていた。 「読心の魔眼! 魔眼持ちだったのね貴方、聖堂教会のくせに!」 「生まれつきです。それに滅多には使いませんよ。貴女のように、固く心を閉じてしまった人だけです」 「鍵をかけるのはプライバシーを守りたいっていう意志があるからよ、この覗き屋!」 「仕事がら致し方ありません」   常に閉じていたヴァレンタイン=トリファの目は、今は開かれ、緑の瞳を露わにしていた。   特に魔法陣が刻まれているわけではないが   つい一瞬前。御門美樹の視界にはこの瞳がいっぱいに広がり、   危うく全てを吐き出してしまうところだった。嘔吐的な意味ではなしに。   読心の魔眼。   視線を介した、一工程での精神侵入。   それが、ヴァレンタイン=トリファが生まれながらに備えた異能だった。   そう、ヴァレンタイン=トリファは異能者である。   それはニコラウス神父の聖人体質のような奇跡ではなく、はっきりと異端の力だった。   ヴァレンタインが数多くの功績を重ねていながら、正当な評価をされない理由でもある。   実力主義が聖堂教会の原則だが、表の地位においてはそうではない。   数千人の精神外傷を治療したテルニの聖者。   その功績は(証拠は残らないとはいえ)彼が魔眼を使って為したことというのは明白だからだ。   一般人に対する大規模な魔術の行使。   魔術師協会でなら即時抹殺されている。聖堂教会でこそ功罪相殺されているようなものだ。   そしてこの読心効果は、懺悔式典を戦闘型礼装に変貌させる。   懺悔の内容を強制的に引き出し、参加させることで、戦闘中にでも精神攻撃を可能とするのだ。   物理的なものではないためサーヴァントが庇うこともできない。   本人の魔力と魔術で抵抗するしかないので、相性によっては一発で入る。   つまり主従揃ってマスター殺しである。まあ、このアサシンはサーヴァントのほうをもっぱら狙うが。   さておき   御門美樹にとっては最悪の展開である。
[第二ターン    アヴェンジャー HP30/102 MP10/32    美樹 HP18 MP2/44    アサシン HP31/42 MP35/48 結界MP20/20    トリファ HP14/14 MP11/36 結界MP20/20     美樹+アヴェンジャー:アサシン/トリファ     IVアサシン19,アヴェンジャー19,美樹9,トリファ6     冒頭宣言なし] 『まずいわアヴェンジャー。下手すると作戦が読まれる!』 『それはまずいな。元々、勝っても負けてもいい勝負だったのだが』 『アーチャーの真名を見抜いたのはこういうカラクリだったのね。あの真名隠匿は相当強烈だったから』 『なるほど。サーヴァント自体を見抜けなくても、マスターの心を読めばいいということか』   もちろんニコラウス神父は簡単に心を読まれるような素人ではないが、それ以上にトリファの魔眼が強烈だった。   ランクは黄金。千里眼のような強烈な視力を備え、生者だけではなく残留思念も読み取る事が可能。   乱用すると死の危険すらあるが、それだけ魔眼が強烈なのだ。   アサシンが奇襲狙撃を可能にしたのは彼の念話による指示であるし、今もその恩恵は受けている。   例えば今、この時のように 「しのてんし、アズラエルのはばたきをきけ!」 『妄想翼線(ザ・バーニャ)』   アサシンが復元呪詛で傷を塞ぎながら   袖を翻し、二の腕に植えた羽毛を大気にさらす。   真名の解放とともに、直死の渦が巻き起こった。   構成素材は羽毛だが、実際はビームのような速度である。   対してアヴェンジャーは、偽神五兵を再び弓砲形態に変形させ、躊躇なくビームをぶっ放した 「偽神五兵・飢餓地獄(ゴッドフォース・グラトニー)!」 [アサシン行動   復元呪詛 8an4+11an5 8ANG4+11ANG5 = [5,1,6,5,6,5,6,2]+[3,5,3,2,4,6,2,3,5,6,2] = 11          11点回復 2点消費          アヴェンジャーに攻撃 妄想翼線 48an5+20an5 48ANG5+20ANG5 = [3,5,4,5,5,(中略),4,5,3,1,2] = 55          ラック使用 13ANG5 = [4,1,3,1,5,2,3,5,3,6,2,3,2] = 12 55+12+16=83ダメージ          アヴェンジャー 偽神五兵飢餓地獄で競り合い           31an5+4an4+10an5+30an5 31ANG5+4ANG4+10ANG5+30ANG5 = [5,4,4,5,6,(中略),1,5,1,6,5] = 65          65+26=91ダメージ          アヴェンジャー勝利 91-83=8ダメージ アサシン4ダメージ アヴェンジャーMP4回復          アヴェンジャー HP5/102 MP14/32]   天から打ちおろされる紫と、地から打ち上げられる純白が激突し空中でつばぜり合い、相殺し、消滅した。   アサシンが転がる。紫の波動が僅かに競り勝ったが微々たるものだった。   初撃と同じ結果。ほぼ互角である。   暗殺者は小さくうめいた。ダメージ以上に、プライドを大きく傷つけられたようだった。 [アヴェンジャー行動   アサシンに攻撃 38an5(-5) 38ANG5 = [3,4,5,2,4,(中略),4,4,4,4,2] = 36             アサシン防御 MP-5 48an-5 48ANG5-5 = [4,4,4,2,1,(中略),2,4,2,3,4]-5 = 38             カウンター発生 2+11=13 アヴェンジャー無傷] 「なめるなっ!」 「むっ!」   偽神五兵を槍にして突撃してきたアヴェンジャーに、アサシンが逆に突っ込んで弾き飛ばす。   その反動で上空に舞い上がるアサシンと、青火車の態勢を立て直すアヴェンジャー。   ぐるぐるとスピンする青火車の中でグロッキーになりながら、美樹が自分のサーヴァントを回復する。   攻撃、防御、宝具戦、ほぼ互角。   ならばあとはマスター次第。 『マスター、あそんでいないでえんごしろ!』 『遊ぶって。あのー、迷えるものを救済するのは私の使命ですよ? せめて彼女の動機を知りたいのですが』 『うるさいだまれ。どうせころすのはサーヴァントだ』 『仕方ないですね……わかりましたよ』 「どうか、聖なる者たちにふさわしく、また、主に結ばれている者らしく彼女を迎え入れ、  あなたがたの助けを必要とするなら、どんなことでも助けてあげてください」   トリファが聖句を唱えると、彼の魔力のほとんどがアサシンを一時的に強化する。   結局それが両者の明暗を分けた。   アサシンの宝具に対抗するたびにアヴェンジャーは対城礼装を解放せざるを得ず、どんどん消耗していく。   対してアサシン組は元々元気な上に、対人宝具なので燃費も悪くない、   主従共に結界を装備しているという耐久仕様である。しかも霊地を確保。   趨勢は互角に見えるが、どんどんアヴェンジャー側に不利に傾いていた。 [美樹行動       回復回復回復 12ANG5 = [6,2,5,5,2,(中略),5,1,5,1,2] = 10             HP15点回復 トリファ行動      アサシン援護 8ANG5+10ANG5 = [3,1,2,5,5,4,2,4]+[1,4,4,5,4,3,6,3,1,1] = 17 MP17消費]
第三ターン    アヴェンジャー HP20/102 MP14/32    美樹 HP18 MP2/44    アサシン HP38/42 MP13/48 結界MP20/20     トリファ HP14/14 MP11/36 結界MP3/20     美樹+アヴェンジャー:アサシン/トリファ     IVアサシン19,アヴェンジャー19,美樹9,トリファ6 『読心が来なかった! アヴェンジャー、次の迎撃はできる!?』 『無理だな。さっきので打ち止めだ』 『……そう。それじゃ』   がはっと   美樹がそこまで念話をしたところでぶっ倒れた。   青火車から放り出されそうになるのを、とっさにアヴェンジャーが引き留める。   その場の誰もが知る由もないが   山麓でバーサーカーとの決戦により、アーチャーが脱落した瞬間だった。   それは決定的な隙となる。 「妄想翼線・爪(ザ・バーニャ)!」   両腕から羽を溢れさせ(2倍)   風霊を足場に更に上空に跳ね上がり(2倍)   溢れる魔力によって凄まじい回転と共に突進する(3倍)   アサシンが達成値80の羽の矢と化した! [アサシン   アヴェンジャーに攻撃 妄想翼線 48ANG5+20ANG5+17 = [6,1,1,5,4,(中略),2,4,4,2,4]+17 = 80         アヴェンジャー回避 46an5+4an4 46ANG5+4ANG4 = [1,4,2,4,5,(中略),3,6,4,2,6] = 40         80-40=40,ダメージ45] 「が……は」 「かったぞ!」   一瞬後。   アサシンは地面を削りながら着地し   青火車は美樹を乗せたまま墜落し   アヴェンジャーは   胸部に大穴をあけて、空中に放り出されていた。   霊核を貫かれ   即死だった。 「主はそのひとり子を賜わったほどに、この世を愛して下さった。  それは御子を信じる者がひとりも滅びないで、永遠の命を得るためである」 [アヴェンジャー死亡  アサシン 自己改造によりFP吸収 8an4+8an5 8ANG4+8ANG5 = [6,3,4,1,1,3,3,6]+[1,3,5,1,5,6,5,1] = 13]   そしてこの瞬間、アヴェンジャーの勝利が確定した。

  GM  : まあとりあえず前半だけですが。
  駿人  : …と言うか、後半あるんですかコレ。
  GM  : アサシンが1200万パワーの光の矢になったー!
  バサカ : なんでところどころに肉混ぜるんだよ(笑)